福島県立医科大学発ベンチャー「エースバイオアナリシス株式会社」の代表取締役を勤める志村です。
タンパク質は生命活動の主役です。タンパク質は様々な形の部品として、人間を含む全ての生命の働きをつくり出しています。また、最近ではタンパク質を工業的に生産して、薬や触媒として利用することも広く行われるようになりました。こうした中で、より速くより高精度なタンパク質分析法が求められています。
私はタンパク質の分析法として、キャピラリー等電点電気泳動法 (CIEF) の重要性に着目し、長く研究を行ってきました。そして、実用性が高く完全に自動化可能な走査検出キャピラリー等電点電気泳動 (SCIEF) 装置のアイデアを着想し、特許化しました。本装置の試作機はすでに完成し、極めて高い性能を示しています。
さらに、等電点電気泳動用キャピラリーに直結したマイクロ抗体カラムを用いて試料から目的タンパク質のみを抽出、濃縮したのち、それをそのままCIEFで分離検出するアフィニティー・キャプチャー・キャピラリー等電点電気泳動法(ACCIEF) も特許化しました。これらの素晴らしい装置と技術を世界中のタンパク質分析に関わる人々に広く届けて行きたいと思っています。
キャピラリーとは毛細管のことです。キャピラリー等電点電気泳動法は1ミリの1/20という細さの管の中でタンパク質を高精度かつ短時間に分離します。「いや、ウチにはタンパク質がたくさんあるので微量で行う必要は無い」と思われる方もいるかもしれませんが、微量で行うからこそ、迅速かつ高精度な分離が可能になるのです。
当社の製品には、さまざまな新しいアイデアが盛り込まれています。市販機は開発中ですが、日栄工業株式会社(福島市)と共同開発した試作機を用いて、本装置の可能性をお示しすることができます。タンパク質の分析で次のような課題や興味をお持ちの方は是非ご連絡下さい。有料での分析をお引き受けいたします。
- 等電点バリアントの分布を見たい
- 翻訳後修飾の違いを等電点バリアントのパターンから評価したい
- 培養法や培養時間による等電点バリアントの変化を知りたい
- 等電点電気泳動で単一ピークか否かを知りたい
- 別のタンパク質との複合体を観察したい
- 抗体の抗原結合を評価したい
- タンパク質の化学修飾にともなう変化を追跡したい
- 蛍光アフィニティープローブを用いた高感度分析を行いたい
- 抗体カラムと等電点電気泳動の直接結合に興味がある
皆様のご意見を伺って、さらによい製品の開発につなげたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
エースバイオアナリシス株式会社 代表取締役 志 村 清 仁
略歴
- 1972年 山梨県立都留高校卒業
- 1976年 山形大学 理学部 化学科卒業
- 1979年 北海道大学大学院 薬学研究科 博士課程中退
- 1985年 博士号取得(北海道大学 薬学)
- 1979年〜2005年 帝京大学薬学部 助手、講師、助教授
- 1991年〜1993年 米国 Northeastern 大学 Barry L. Karger 研究室留学
- 1997年 日本電気泳動学会学会賞 第36回 児玉賞受賞
- 2005年 神奈川科学技術アカデミー マイクロ化学グループ 研究員
- 2005年〜2010年 東京大学大学院 工学系研究科 応用化学専攻 特任准教授
- 2009年 日本電気泳動学会 第6回 国際交流奨励賞受賞
- 2010年〜2019年 福島県立医科大学 医学部 総合科学系 先端化学分野 教授
- 2018年 エースバイオアナリシス株式会社設立
- 2019年 日本分析化学会 電気泳動分析研究懇談会 第5回 寺部賞受賞