■ キャピラリー等電点電気泳動 (CIEF)

等電点電気泳動は当初、溶液中やゲルの中で行われていましたが、キャピラリー中で行うと、さらに優れた特性を発揮することが分かりました。キャピラリー中では、タンパク質の移動を妨げるゲルを使う必要がないので、とても早く焦点化します。キャピラリーに試料と両性担体を含む液を注入し、電圧をかけるだけで焦点化が起こるので、とても簡単です。また、キャピラリー全体を試料で満たして分離を開始できますから、希薄な試料にも向いています。しかも、等電点電気泳動は 0.02 pH 単位の違いでタンパク質を分離できるとても高性能な分離法です。まさに、CIEF 法は、いいことずくめのタンパク質分離法です。

しかし、一つだけ問題があります。それは、等電点電気泳動の性質上、焦点化したタンパク質はキャピラリー内に形成された pH 勾配のどこかに静止してしまうことです。一般的なキャピラリー電気泳動の装置はキャピラリーの一箇所に固定された検出器しか装備していません。そのため焦点化したタンパク質を検出点に移動させる必要がありますが、この移動によって分離能が低下したり、時間がかかったりという問題が生じます。

走査検出キャピラリー等電点電気泳動 (SCIEF) は検出におけるこの問題を解決し、CIEF がもつ能力を最大限発揮させることができます。